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【網羅版】ジーンズの原点Levi’s(リーバイス)デニムの歴史と人気モデル|シルエット別に紹介します
補強のためのリベットへの打ち込み、5ポケット、ボタンフライ、バックポケットのステッチ…
デニムの機能やデザインとして今や当たり前の要素ですが、これらのディテールは全てLevi’s(リーバイス)の501が始まりです。

https://www.levi.com
Levi’s(リーバイス)の歴史
殆どの方が1本は持っているであろう「デニム」というアイテムは、もともと労働者のためのワークパンツでした。1世紀以上の伝統を持ち、作業着として開発された501、1960年後半にファッションを楽しむために作られた505、1971年には世界で初めてブーツカットシルエットの517がリリースされるなど、デニムを語るうえでは欠かせない存在である世界的なデニムブランドのLevi’s(リーバイス)。
中でも創成期〜1960年代のある程度状態の良いものは希少性が高く、ヴィンテージとして古着好きやコレクターの間でも高い人気がありますし、リーバイスからも過去の貴重なロットナンバーを忠実に再現して作られたLEVI’S® VINTAGE CLOTHING(リーバイスビンテージクロージング)という復刻コレクションが存在します。
Levi Strauss(リーヴァイ・ストラウス)はブランドにとって決して忘れてはならない人物です。アシュケナージ系ユダヤ人の一家としてリーヴァイ・ストラウスは生まれ、アメリカに移り住んだストラウス家は家族で雑貨店・生地商を営んでいました。卸売事業を手伝い大人になった彼は有名な実業家になり、時代はゴールドラッシュの最盛期でした。

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急速に拡大していた金鉱ワーカーたちから「丈夫なパンツが必要だ」という声を聞いたリーヴァイ・ストラウスは、衣服や縫製の需要があると目論み、キャンバス地のワークパンツを製作しました。しかし、ポケットが端から破けてしまうなど耐久性が足りずに製作の試行錯誤を重ねる日々。
その頃にネバダ州リノの仕立て屋であったリーヴァイの当時の上顧客Jacob Davis(ジェイコブ・デイヴィス)から届いた手紙にはこう書かれていました。
「ワークパンツのポケットの角とボタンフライの付け根に、金属リベットを使用するのはどうだろうか?」
この手紙がきっかけでジェイコブはリーヴァイのビジネスに加わり、テントに用いられる帆布生地が使われ、金属リベットで補強された新しいスタイルの「XX」が誕生したのです。XXは「Extra Exceed」の略で、「非常に丈夫な生地」を使用していることを意味します。「501」と呼ばれるようになったのは1890年になってからのこと。当時1本あたり75セントで売られていたのだそう。
当時のXXと復刻版501XX
501の始まりである1873年モデルは、ボタンフライ、ヒップポケットは右側のみ、ベルトが普及する前に使われていたサスペンダーボタンとバックシンチが取り付けられていました。シルエットはストレートですが、少し太めのシルエットに見えます。リーバイスのデニムの特徴のひとつであるアーキュエイトステッチ(2重の弓形ステッチ)はこの頃はまだ無かったようです。

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XXモデルがロットNo.「501」と名付けられた年、1890年の復刻モデルがこちら
LEVI’S® VINTAGE CLOTHING 1890モデル/501XX/WHITE OAK/リジッド/8.8OZ

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Levi’s(リーバイス)ツーホースマークの意味とパッチの歴史
復刻版の501XXにもある、後方右側に取り付けられた二頭の馬が一本のデニムを引き合っているイラストが描かれているパッチも、リーバイスのデニムを手に取った方であれば「見たことある!」と感じられるかと思います。

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このリーバイスの象徴である「ツーホース・マーク」があることで、デニムの強度の高さ、そして高品質であることがどの国の人が見ても伝わるように作成されていることが分かります。現行の501と比べて見ても、パッチのデザインに大きな変更はなくほぼ受け継がれており、時代によって革、紙、布、麻素材など異なります。
付いているパッチの素材やパッチへの記載は、デニムの年代判別に役立ちます。1954年までは鹿革、1957年前後からは全て厚い紙のパッチになりました。
変更になった理由としては、鹿革は洗濯し乾燥することで縮みやすく、デニムのシルエットの崩れ等が見られたため。紙のパッチは縮まない反面、例えばレシートを服のポケットに入れたまま洗濯してしまった後日出てきた…ような経験がある方には想像が付きやすいと思うのですが、紙パッチは経年による硬化が見られ、下のように割れてしまう点があります。

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ちなみに現在日本で販売されているリーバイスのデニムの多くは「革パッチ」が付いています。
ここから1944年までは、ベルトループやアーキュエイトステッチ、バックポケットの赤タブなど、マイナーチェンジを繰り返し今の501の形に近づいていきますが、同年の第二次世界大戦により資材が不足し、リーバイスもまたディテールの変更を余儀なくされました。
戦時下の資材節約の物資統制により生まれた501と復刻版1944モデル
当時作られた実際のモデルは一部のリベットやシンチバックが取り払われ、アーキュエットステッチも削るようにと、糸の資材節約のため政府から要請されましたが糸の代わりにペンキで代用されたことで伝統を守りました。5ポケットジーンズとしての形が出来上がったのも、このタイミング。

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こちらがその戦時中で生まれた1944年の復刻モデルです。
LEVI’S® VINTAGE CLOTHING 1944モデル 501® JEANS RIGID

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戦後1947年にはアーキュエットステッチやリベットも再び取り付けられ、シンチバックとサスペンダーボタンを除いたよりスリムなシルエットになりました。通称47モデルと呼ばれています。
ボタンフライからジッパーフライに
1954年には初のジッパーフライが採用された501ZXX、こちらも当時大変な人気だったそうです。今では非常に稀少であるオリジナル品がこちら。

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501ZXXの復刻版である 1954モデル/501ZXX/CONE DENIM/WHITE OAK/セルビッジ/13.7OZ

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501は定番の中でも年代によってデザインやシルエットが特に異なるため、一口ではどんなデニムなのか説明することが難しいモデルです。
例えば501は通常レギュラーストレートデニムとして紹介されますが、スキニーやテーパードのシルエットも後にカスタマイズされたモデルとして存在します。
緩やかなテーパードシルエットの502モデル
1967年にはジッパーフライの後継として502という新しいロットナンバーも登場しました。
ゆったりめの太もも、足首に向かってテーパードがかかっているデザインで、折り返してロールアップさせてもバランスが良く、程良いストレッチによりストレスなく履くことができます。

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こちらの復刻モデルは1893年から製造されているオリジナルにも使われていたTalon社製ジッパーが取り付けられ、紙パッチやBigEのレッドタブまで再現されています。当時「505」モデルは502を原型として作られました。502よりも股上が深く(501と同じくらいの股上の深さ)、シルエットは502同様、裾へとかかる緩やかなテーパードが特徴。
この505は2009年にモデルチェンジしており、501、502よりも細身のストレートです。腰回りはゆったりとしているため太腿が太めの方や、スラックスのようなシルエットですのでスタイルを良く見せたい方にお勧めです。

https://www.leon.jp

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1960年代にはアメリカだけでなく世界中の若者がリーバイスの服を着るようになり、この頃発売されたホワイトジーンズやコーデュロイなどのパンツはどれもがベストセラーとなりました。
この頃のモデルには518や、518を派生させた519があり、オフホワイトのかつらぎ素材やカラフルなコーデュロイ素材など、多様なデザインを楽しむことができるようになりました。
リーバイスのホワイトジーンズ
ホワイトジーンズの繋がりで、2022年SSのLevi’s® Made & Crafted®コレクションから柔らかいホワイトカラーの【トラウザー ストレート OATMEAL】をピックアップ。センタークリースが施されています。リサイクルしたオーガニックコットンと繊維から作られ、柔らかく、そして耐久性に優れたサステナブルな一本。

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リーバイスのデニムの注目モデル「517」
これまでご紹介したモデル以外に、500番台の中で特に人気があるのが「517」です。

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1971年にブーツを日常で履いているカウボーイに向けてデザインされたシルエットはブーツカット。
ブーツカットと言っても裾の広がりは控えめで、苦手意識がある方でも馴染みやすく、ブーツは勿論スニーカーや革靴とも相性が良く、Tシャツと合わせてもやぼったくなりません。
裾の広がりが物足りないという方には、646のベルボトムと言われるフレアパンツがお勧めです。

https://vintage.city
ここまで沢山のデニムをご紹介してきましたが、最後にロットNo.別のシルエットや股上の違いをまとめていきます。
リーバイスMEN’S JEANS GUIDEから引用

https://www.levi.jp から情報を引用し、arkhēにて画像を作成

https://www.levi.jp から情報を引用し、arkhēにて画像を作成
リーバイスデニムの生産国について
まず、一部の復刻を除く、1990年代までの501モデルは全て米国で生産されていたものです。
この頃は501等多くのリーバイスの製品に14オンスのコーンミルズ製のデニム生地が使われていました。
しかし1996年、71億ドルの売り上げをピークに低迷していき、自社工場は次々と閉鎖されてしまいました。
2003年には米国内の工場は全て閉鎖され、それ以降の復刻モデルは米国内の外注工場にて生産されています。
2019年よりLevi’s® Made & Crafted®(リーバイス® メイド & クラフテッド®)に加わったジャパンメイドのプレミアムプロダクト「MADE IN JAPAN」は、すべての工程を日本国内で行い、良質な日本製の生地・カイハラデニム地を使用し、世界最上級ファブリックの一つである熟練した職人の手により生み出される製品です。

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2022年現在、エジプトやメキシコ、日本、アメリカ、トルコなど様々な国で生産されている「今買えるリーバイスのデニム」は年代別、販売元別によってシルエットは勿論、生地や縫製品質の違いもあります。
異なる2本を購入して、時間の経過と共に色落ちや生地感の違いを見比べ味わうのもまた、リーバイスデニムの楽しみ方のひとつかもしれませんね。
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