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本当に価値あるモノ作りを手がける「ファクトリーブランド」とは?|おすすめブランドも厳選ご紹介
「ファクトリーブランド」をご存知ですか?
ミニマルなライフスタイル傾向にある中、本当に価値のある物を見定め、快適で上質感を与えてくれるアイテムに光が当たっています。
そのモノに何の無駄も見当たらず、どのアングルから見ても身に付ける人を際立たせてくれる、そんな“意味があるデザイン”“機能美が秀でたプロダクト”が注目されています。
そのようなアイテムはデザインがトレンディであるだけでも、職人のこだわりだけでも完成はしません。どちらも必要で絶妙なバランスが必要です。経験豊富な職人だから分かる指先の感覚は、いくら感性豊かなデザイナーであっても分からないでしょう。
様々なアイテムはファクトリー(=工場)で作られています。ハイブランドの中には自身のアトリエを所有し、専属の職人の手によって商品が生み出されている場合が多く、それにより独自の手法やアイデアを内包することにもなっています。しかし、全てのコレクションを自社アトリエで作ることは不可能なため、特殊な技術や高度な技術を要する商品は、専門分野の中でもとりわけ技術力の高い工場へ協力を依頼し、生産されています。
自社の工場を持っているブランドは限られており、ほとんどのブランドが外部の「協力工場」へ生産を依頼します。これらの工場は、専門・得意分野の商品の生産に徹して、ブランドが企画デザインした商品を作り納品しています。
ファクトリーブランドとは?
ファクトリーブランドとは「工場もしくはメーカーが直接発信していくモノ作りがブランド化したもの」となります。
現地調達の太いパイプを持ち、素材の扱い方に関する知見や縫製を始めとする製造品質におけるプロフェッショナルであるファクトリーが自ら商品を企画し、モノ作りを行うことを指しています。
ブランドとのモノ作りで形成された技術力の高さや、時代を象徴するような商品を共に作ってきたストーリーがファクトリーブランドを物語ります。
昨今はインターネットの発達で自社サイトやSNSで情報発信できることから、ファクトリーブランドの認知が進むようになりました。
ブランドネームが違うだけでこれまでハイブランドの依頼を受けて生産していた商品と同じクオリティのものが発表されています。知名度が低い分価格が抑えられているため、消費者は高品質な商品を求めやすい価格で購入できるメリットがあります。
以下では、既に名の知られたところから、知る人ぞ知るブランドまで、見逃せないおススメのファクトリーブランドをご紹介していきたいと思います。
おススメのファクトリーブランド
靴
・PADRONE(パドローネ)/日本
パドローネは東京都足立区にあるシューズ工場「ミウラ」が運営し、2006年に誕生したシューズブランドです。
日本が世界に誇るコムデギャルソンや大手セレクトショップのオリジナル、数々のデザイナーズブランドのシューズを製作してきたファクトリーが一足ずつハンドメイドで作るこだわりのレザーシューズです。品質の良さに加え、足に吸い付くような履き心地の良さと経年劣化を楽しめるところも革靴を知り尽くした職人の手腕が光ります。
トレンドを巧みに取り入れながらもシンプルに仕上げたスタイリッシュなシューズがパドローネの特徴で人気のファクトリーブランドに発展しました。
・WALSH(ウォルシュ)/イギリス
ウォルシュは1961年にNorman Walsh氏によって設立された英国のシューズブランドです。すべて手作業による靴づくりで幅広い範囲のスポーツシューズを製造してきました。イギリスオリンピックチームのシューズや世界最高峰に挑戦する英国エベレスト登頂隊のシューズ、多くのフィールドプレイヤーのためのシューズ製造で知られるファクトリーブランドです。
すべての商品はデザインから製造まで一貫して英国ボルトンの小さな工場で行われています。所属する10人の高い技術を持った職人が一つ一つの製造過程を丁寧に行い、高品質の商品を作り上げている希少な英国シューズです。
ニット
・BATONER(バトナ―)/日本
バトナ―は山形県の寒河江市(さがえし)に1951年に創業した老舗ニットメーカー“奥山メリヤス”が2013年にスタートしたファクトリーブランドです。
奥山メリヤスニット製品は、国内は元より世界でもトップクラスのクオリティと評価され、国内外のトップメゾンやアパレルメーカーのOEM生産を手掛けてきました。
「バトナ―」とは“バトンを継ぐ者”を意味し、奥山メリヤスの歴史を作った先人たちが築いたニットの技術を未来へ伝えたいという願いを込めてバトナーが生まれました。ハイブランドから評価された山形メイドの高品質な素材と作り、仕上がりの美しさや極上の着心地はそのままに、手頃な値段で手に入れられるコスパの良さも評判のブランドです。
・JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)/イギリス
ジョンスメドレーは1784年イギリスのダービーシャー州で設立された世界最古のニット製造工場です。230年以上に渡り、英国のクラフトマンシップ精神で築き上げた手作業の仕上げ技術を誇り、更なる革新を続けています。最上級の原料を使用し、世界でいち早くファインゲージ(ハイゲージ)ニットウェアの製造に着手したことでも知られるパイオニアです。
他に匹敵するものがないと言われるほどのきめ細かな編み目で、世界最高品質のニットと評されるジョンスメドレー。ニットファクトリーとしての信頼も高く、ポールスミスやバーバリー、ヴィヴィアン・ウエストウッド、マーガレットハウエルなどイギリスを代表するブランドや、コムデギャルソン、ブルックスブラザース、ポールスチュアートなどのブランドのOEM生産も行っています。ハイブランドを唸らせるニットのパイオニアファクトリーは、今や世界中にファンを持つブランドとなっています。
シャツ
・Charvet(シャルべ)/フランス
1838年にJoseph Charvet氏が創業したシャツメーカーです。シャルベは世界初のオーダーシャツ専門店としてパリに誕生し、今もパリの高級ブティック街であるヴァンドーム広場に本拠を構えるフランスメイドの高級シャツブランドです。シャツの元祖であり最高峰シャツブランドと言われるシャルベは、古くからイギリス・スペイン王室、政治家、フランス初代大統領シャルル・ドゴールやアメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディ、ソフィア・コッポラ等も顧客に名を連ねています。オーダーシャツの技術を蓄積し、最高の素材と技術で限りなくシンプルに仕立てるという贅沢さに溢れるのがシャルベのシャツ。180年以上に渡り、世界中のおしゃれ好きな人を魅了して止まないファクトリーブランドです。
コート
・MACKINTOSH(マッキントッシュ)/イギリス
1823年イギリスのグラスゴーにてCharles Mackintosh氏が設立したイギリスを代表する老舗ブランドの一つ。マッキントッシュと言えばレインコートやキルティングジャケットが有名です。2枚の生地の間に溶かした天然ゴムを塗り、圧着した熱を加えた防水布(のちにマッキントッシュクロスと呼ばれる)を発明し、この革新的な生地で製作したゴム引きコートが偉大な発明となりマッキントッシュの名を広めました。品質改良や研究を重ね進化を続ける一方、創業当初から変わらない職人による手作業を続けているファクトリーブランドです。
マッキントッシュは、イギリス陸軍や国鉄、警察のコート製作の他、2000年以降はエルメスやグッチと言ったハイブランドへの生地の提供、また多くのブランドとのコラボレーションなど話題を欠くことなく人々を魅了してきました。
シンプルで伝統的なデザインに時代のトレンドをプラスしたコレクションは世代を超えて不動の人気を博す世界的なブランドです。
バッグ
・Stefano Mano(ステファノ マーノ)/イタリア
ステファノマーノはイタリアで1974年創業のガスプコム社のファクトリーブランドとして2004年に誕生しました。
ガスプコム社は数々の欧米メゾンから製造を依頼されOEM生産を手掛けてきたファクトリーで、OEM生産で蓄えてきた技術力を糧に満を持して自社ブランドをスタート。ステファノマーノのバッグのハンドル(イタリア語でマーノ)は欧州車のドアノブを握った時に感じるような質感と言われます。さらに、厳選された素材を使ったバッグは経年変化の味が加わり、「ヴィンテージカーを乗りこなす時の感動に通ずる」と表現されるほど。すべての工程をイタリアで生産しており、高品質でスタイリッシュなデザインが幅広い世代に愛用されるブランドです。
ジャケット
・LARDINI(ラルディーニ)/イタリア
ラルディーニは1978年、イタリアのアドリア海に面する港町アンコーナに創業したメンズを中心とした衣料ブランドファクトリーです。自社ブランドと共に30年以上に渡り、世界中の有名メンズブランドのOEMファクトリーとして先進の生産性を磨き、顧客のニーズに応えることで自分たちのブランドエッセンスを作り出しました。現代の男性のライフスタイルに合わせ、カテゴリーとスタイル要素を組み替えつつ、伝統とイノベーションの絶妙なバランスで新しいエレガンスを創り出しています。
今日では、毎日400人体制で手作業の生産を行うイタリア屈指の一大ファクトリーブランドとなり、メンズ市場における重要なブランに位置付けられています。ラルディーニのコレクションの中で特に支持されているのはジャケットの仕立てです。肩パットのない柔らかな仕立てに優れた技術を持ち、スタイリッシュなフォルムと快適な着心地を実現し、大人の男性が「一着は持っていたい」と言わせるのがラルディーニのジャケットです。
ダウンコート
・PYRENEX(ピレネックス)/フランス
ピレネックスは1859年フランスのピレネー山脈の麓、サン・セベにて創業した羽毛生産会社です。創業当時から現在も、食用として処理された鳥の羽毛を用い掛布団や枕などの寝具類の生産を続けています。
ピレネー山脈の麓の厳しい気象条件で育ったダックから採取されたダウンは優れた保温性を誇り、ピレネックスを語る代名詞となっています。ピレネックスは1960年代、キャンプ用品を始めとする本格的なアパレル製品の生産を開始し、ダウンウェアのOEMメーカーとして高い評価を受けました。
1990年代から「PYRENEX」の名を冠した自社ブランド展開を始め、瞬く間にフランスを代表する人気のダウンウェアブランドへ発展しています。世界的に珍しく原毛から製品までを一貫して自社工場で生産しているダウンの総合メーカーです。ピレネックスのダウンはとにかく軽く、格別な保温性に富みシンプルなのが特徴。動きやすさを追求したパターン設計で重ね着をした時にもストレスがなく、コーディネイトしやすいデザインも人気の高水準ダウンです。
まとめ
ブランドの生産を支えてきたファクトリーが蓄積してきた専門的な技術やアイデアは大きな財産で最強です。分業化が進むアパレル業界において自社で一貫してモノ作りができる能力があり、その水準が高ければ注目を浴びる時が来るでしょう。これまでファクトリーに足りなかった企画力や販売力を強化したところはブランド力を上げ人気のファクトリーブランドに発展しています。このロールモデルからも、専門分野に特化した「実力」が試される時代と言えるのではないでしょうか。
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