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スマートアパレルとは?|ハイテク機能が搭載された次世代型ウェアの現在地

https://mag.sendenkaigi.com/

https://xenoma.com/
人気上昇中ワード「スマートアパレル」とは?
「スマートアパレル」と言う言葉を耳にしたことがありますか?
スマートアパレルとは、衣料にセンサーなどのICT(情報通信技術)などを生地に組み込み、カメラを使わずに体の動きや体温、体調を測るようなウェアラブルデバイスの事を指しています。
近い将来、日常生活で当たり前のように身に付ける日が来るだろうと言われているスマートアパレルについてご説明していきましょう。
東京大学・染谷隆夫研究室からスピンオフベンチャーとして誕生した、株式会社Xenoma(ゼノマ)はスマートアパレルに光を灯したベンチャー企業です。
ゼノマが開発したスマートアパレル「e-skin」は一般の繊維素材では得られない新しい機能を備え、様々な生体情報や身体各部の動きをリアルタイムに測定することを可能にしました。
最先端のテクノロジーを取り込むことでファッションの新しい価値観を実現しています。

https://xenoma.com/
e-skinのコア技術は「服×デバイス」ですがXenoma社がコアとして狙うビジネスモデルは「服×データー」という次元です。
例を挙げると“心電データー”です。病気になってから病院へ行き診察を受けるのではなく、健常者のコンディションでデーターを収集します。
これは普通の服として測定できるe-skinのメリットで、病気を患ってからはなく、病気になる前の医療データーを解析することで予防医療への貢献が期待できるのです。e-skinは機器や装置ではなく服で、着心地の良さと洗濯できる汎用性も備えています。近い将来にe-skinが普段着として当たり前になる暮らしが訪れても不思議ではありません。
このように、フィットネスやヘルスケア分野への活用のほか、保育・介護の現場における人手不足や様々な作業現場での安心・安全の確保、社会の課題解決に寄与する可能性があると考えられ、スマートアパレルは国内外から注目が集まっています。
しかしながら、スマートアパレルは「スマート衣料」「ハイテク衣料」「スマートウェア」など様々に呼ばれており、まだスマートアパレルと言う言葉が一般的に認知されていないのが現状です。
業界では話題になっているものの消費者に浸透していくのはこれからとなりそうです。
スマートアパレルの現在地
スマートアパレルのテクノロジーは近い未来への指標として、大小を問わずアパレルブランドで商品化の挑戦、販売が始まっています。
スマートアパレルが搭載されたアイテムはアプリとBluetoothやwi-fiを連動させることでデーター計測が可能です。この点からスポーツのカテゴリーでの関心が高く、競技性を損なわずにセンシングでき、身体の動きをモニタリングできる点からも製品開発が期待されています。
以下では現在販売されているスマートアパレル搭載商品をいくつかご紹介しましょう。
スマートアパレル搭載商品
Smart socks(スマートソックス)

https://www.sensoriafitness.com/
アメリカのSensoria(センソリア)社が開発した、履くだけでランニングフォームがリアルタイムでモニタリングできる靴下です。靴下にアンクレットを装着してアプリと連動させます。
靴下の底裏部分の3カ所に独自のテキスタイルセンサーを用いて圧力を計測し、導電性の繊維を経由してアンクレットのセンサーに中継することでデーター化します。これにより、フォームを解析し足使いのどこに問題があるか指摘してくれるため、まるでパーソナルトレーナーからコーチを受けているような環境がいつでもどこでも実現します。
靴下に加え、心臓の鼓動を計測するセンサーを組み込んだTシャツとブラも発表されています。

https://www.sensoriafitness.com/

https://www.sensoriafitness.com/
Sensoria Smart socks + Fitness Anklet 約 ¥24,000+税
Smart shoes(スマートシューズ)

https://www.cnet.com/

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Pizza Hut Pie Tops 2.0 Sneakers
米ピザハットが2017年に初めに発表し大きな話題を呼んだスマートシューズ。
2018年にその第二弾として発表した「Pie Tops 2.0」をご紹介しましょう。
足の甲と靴紐の間のシュータンに付いているボタンを押すと、1方の靴はピザを注文する、もう一方はピザを玄関まで取りに行くときにテレビを一時停止できる機能があるというユニークなアイデアを搭載。
第一弾に続き、3月の一大イベントである全米大学バスケットボールトーナメント・マーチマッドネス開催に合わせて発表。ピザハットはスポンサーとしてこの大会のオフィシャルピザになりました。
一方のボタンはBluetoothでスマホ専用アプリに接続され、ピザの注文が完了。もう一方のボタンはDVRレシーバー(衛星放送やケーブル放送の受信機能と番組の録画機能を併せ持ち、ライブ放送でも停止させる機能があるもの)に接続しテレビを一時停止させることが可能です。
ECサイトにて50足限定で販売されました。バスケットとピザと言うアメリカならではのカルチャーをアイデアに活かしたピザハットならではのアイデアが冴える商品でした。
Smart work clothes(スマートワーククローズ)

https://www.ssfshop.com/
Smart business suits 2.0 参考価格 ¥41,000~62,000+税
韓国サムスングループでファッション事業を担当する第一毛織がキャリア大手のKTと共同でスマートウェアをうたう「スマートスーツ2.0」を2014年にスーツブランドROGATISから発売。
発売以来韓国で大きな話題を呼び、低迷していたスーツ市場の中で同時期に最も売れたスーツの一つになりました。
ジャケットの内ポケットにNFC(近距離無線通信)チップが備え付けられ、スマートフォンを内ポケットに入れるとNFCチップが検知。着信音が鳴った場合、マナーモードか着信拒否に自動的に切り替わり、ポケットから取り出すとロックが自動解除されすぐに使用可能になる「Un-Lock」機能を搭載。
また、スマートフォンでポケットにタッチすると自分の名刺情報をメールやSNSで相手に送信できる「名刺機能」や、スマートフォンにイヤホンを取付けポケットに入れると自動的に音楽再生が始まる「音楽機能」などがあります。
その他、アプリを使った様々な機能が備わり、スマートアパレルの関心を高める起爆剤になりました。NFCは水や高熱にも耐えられるよう作られているため、スーツを洗濯したりドライクリーニングに出したりして使い続けることが可能で、チップを内ポケットから取り出すこともできます。
スマートアパレルに対する企業の関心は高く、開発が進められていますが市場としてはまだ立ち上がったばかりの感が否めません。
ベンチャー企業のプロトタイプ段階であることも多く、市販に至るのはまだ少数であるのが現状です。スマートアパレルが搭載された製品は大量生産が出来ないことや原料コストが高いことから販売額も高価になるため、消費者へ浸透していくのはもう少し先になると見られています。
スマートアパレルを採用しているブランド
一歩先の市場を見据え、スマートアパレルを採用した商品を開発・発売しているブランドがあります。
その中から代表的なものをご紹介しましょう。
Xenoma(ゼノマ)/Smart Suits

https://xenoma.com/

https://xenoma.com/
東大発のスマートアパレルベンチャー、ゼノマとスーツのAOKIによる共同開発でゼノマのセンサー技術「e-skin」を組み込んだスマートスーツ。
スーツを着用する人の疲労を軽減し、働き方の質の向上に活かす事を目指し開発されました。
見た目も着心地も普通のスーツで、背中の肩甲骨あたりにコントロールユニットが入り、背中上部にPCF(変形・伸縮が可能な電子回路技術)センサーが仕込まれており、着用するだけで活動状況のビッグデーターが生み出せるというもの。
現在の試算では、一般的なスーツの倍程度の価格になる可能性があるため、価格に対するハードルをどう克服するかがポイントとされています。
ラルフローレン/Polo Tech shirt

https://www.ralphlauren.co.jp/

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ラルフローレンは心拍数や呼吸状態など身体の活動量を計測する機能が内蔵されたスポーツ用のスマートシャツ、「ポロテックTシャツ」を発表しました。
カナダのベンチャー企業OMシグナルとの提携で開発。
胸部のセンサーと脱着可能なブラックボックスで構成されており、ブラックボックスには加速度センサー、ジャイロスコープ、Bluetoothアンテナ、バッテリーなどが組み込まれています。心拍数、呼吸、運動量が計測可能で、計測されたデーターはパソコンやタブレット、スマートフォンなどに送信され、取得したデーターは専用アプリでモニタリングできます。これにより、どんなエクササイズが必要かのアドバイスも得られます。
アンダーアーマー/ATHLETE RECOVERY SLEEPWEAR

https://www.underarmour.co.jp/

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参考価格/トップス:¥10,000~13,400+税、ボトム:¥11,000~13,400+税
世界初のアドバンススリープシステムを採用したスマートパジャマ「Rest Win Repeat」を発表したアンダーアーマー。
アメフトのニューイングランドパトリオットの人気クォーターバックのトム・ブレイディの相談が開発の始まりでした。遠赤外線技術を使用したTB12テクノロジーは就寝中に人間の身体を回復する手助けに。衣服の内側にプリントされた柔らかいバイオセラミックが身体の熱を吸収し、遠赤外線を肌に反射する仕組み。血流を高め、筋肉に送られる酸素量を増やします。
これが身体の回復を早めるだけでなく、良質な睡眠を誘い、炎症を減らし、細胞のメタボリズムを規則的に整える作用があります。
トミーフィルフィガー/Tommy Jeans Xplore

https://japan.tommy.com/
スマートトレーナー 参考価格/¥10,000前後
商品ラインは全部で23アイテム。現段階ではアメリカのみで展開されているトミーフィルフィガーのスマートアパレル商品。アイテムの中にチップが内蔵されており、Bluetoothを介してIOS専用アプリと連動し、アクティビティに応じてポイントを貯めるのが目的。アプリの地図に表示されるハートマークのチェックポイントに行くとポイントが貯まり、ポイント数に応じて特典や割引がもらえるというもの。同ブランドのファンにとっては嬉しいユニークな機能でしょう。
Google ATAP × Levi’s の共同開発/デニムジャケット

https://www.levi.jp/

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グーグルの先端開発技術チームATAPは、“あらゆる衣服をタッチスクリーンに変える新しいテクノロジー”をコンセプトに独自のセンサー機能を備えたテキスタイル「Project Jacquard(プロジェクトジャガード)」を開発。
リーバイスとのコラボレーションによりデニムの上からスマートフォンなどを遠隔操作可能な次世代デニムジャケットを発売しました。
左袖口に「ジャガードタグ」と呼ばれる小型のデバイスが差し込まれており、袖口のカフスと連動。伝導性の繊維が織り込まれたデニムで、見た目は他の部位と同じだが、他よりも固さのあるカフスにタッチセンサー能力があり、ここに触れるだけで端子に接続したジャガードタグに命令できる仕組み。

https://www.levi.jp/
トラッカージャケット 参考価格/¥27,000(税込み)
カフスをスワイプや、タップすればBluetoothに接続したスマートフォンが動きます。音楽の再生・停止・スキップ、道案内や到着時間の確認、電話の応対が可能。スマートフォンのカメラをリモートコントロールする自撮り機能があるのも人気の一つ。
リーバイス社の考え方は「スマートテクノロジーをただやりたかったのではない。現代人にスマホの画面でなく、人の目を見る生活を提案したい」というものです。“テクノロジーに寄り添いながらも人の心を忘れない未来型ファッション”の発展を目指すのは長いブランドの歴史を持つリーバイス社ならではの考えで共感を呼びました。
まとめ
今回はスマートアパレルについてご紹介しました。
日々開発は進み、一般の消費者が店頭で手にする日は遠くないと思います。
「スマート」と言ってもスマートフォンのように複数の異なる機能を搭載したデバイスと違い、それぞれが用途や目的に応じたピンポイントな役割を果たしているのが現段階のスマートアパレルと言えるでしょう。
日常生活を豊かにするのが目的で様々な社会問題の解決も期待されるスマートアパレル。当たり前に活用し、負担なく情報にアクセスできる日が訪れるのもすぐそこまで来ているかもしれません。
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